「私、バックパッカーでしたが、なにか?~90年代女パッカーの戯言」5

 

「う~ん、インドな気分、前回と話、つながらないけどね、だってさ、インドだよっ!」

 

 3月15日といえば、バックパッカーズリンクの原稿の締め切り!と同時に、確定申告っていうやつの締め切りでもあるんですねぇ。 

 

写真 (4).JPG

         早朝のガンジス川をボートでユラユラ

 

このとっても平和なニッポン国で、ザ・ニッポン人として、水道から出る水をごくごく飲んだり、整備されたアスファルトの道路の上を歩かせてもらっている以上、ちゃんと税金納めなくちゃいけませんよ、はい。

なぁんて私、威張れません。毎年、ぎりぎりで確定申告の書類を提出する私は、去年は震災のゴタゴタですっ飛ばして、放置しておりました。そんなワケで、今年は2年分の書類の作成だぜ!

 

「そんなワケで、向井さん、ごめんなさい〜。締め切り守れません。」

(ふざけんな、こにゃやろー!でも、やっときた原稿が印度だから許す。笑 ^^ 向井談)


しかも、年度末ってやらは、どういうワケか普段よりも忙しくて、そんな時になぜか大工仕事を始めたり、今年の桜は何とも美しくてこれはやはりザ・ニッポン人としては花見をしなくちゃ威厳にかけるし、で、ごめんなさいのメッセージを送ったのでありました。

 

ま、言い訳はいいとして、前回の続き〜! 

あ、シンガポールね、といくところだけど、こんなノーテンキなわたくしとしましても、やはり3月11日の震災というのは、心の深いところのあらゆる感情をずいぶんグルグルとやられた出来事でありまして、3月に入ってからは確定申告とバックパッカーズリンクの締め切りを頭の隅に置きながら、11日のことも深いところでまたグルグルとやっていたんですね。

そういう感情で原稿のことを考えていたら、シンガポールのラッフルズホテルの出来事なんて書くことが、ちょっと微妙だよな、って思えて来ちゃうんだよ。私もそれくらい空気読めるんだな。

だからね、今回だけ、インドにぶっ飛ぶよ〜。

2001年夏、私は3ヶ月くらいかけて、インド、ネパール、バングラデシュを一人旅。いつものように、なーんにもは計画なし。とりあえず、航空券だけ買ってデリーに飛んだ。

もうこの頃には私もかなり旅慣れてたからさ、深夜に夜這いかけてくるインド人を大人な対応で説き伏せたり、スラム街にフラッと入り込んでそこのみんなと仲良くなったり、そんなことが自然に出来るような、なんともゴリッパな旅人に成長しててねぇ。(ま、リッパな旅人っていうのは、愛すべきこの国ニッポンでは立派なドロップアウトってことでもあるんだけどねぇ)

 

写真 (1).JPG

          インドの北、レーの街で出会った家族のみんなと

 

 

その上、インターネットってやつも普及して、Hotmailで友達とか、旅で会った人たちと連絡も取り合って、自分でいうのもナンだけど、結構良い感じの旅をしてたんだ。

その旅の後半、あちこちまわった後、コルカタ(旧カルカッタ)へ。
マザーテレサの家を見に行ったり、とにかく街中を歩き回ってたねぇ。

私はどっちかっていうと、観光名所も興味があれば押さえるけど、根が怠け者だからさ、ただただ街を歩いて人々の営みとか景色とかをボーッと眺める方が好きで、実はこんな旅行記風の記事を書くってのには普通に考えると向いてないんだよね、多分。

ま、それは良いとして、ノープランで行った旅だったけど、一応、コルカタ、バラナシには絶対に行きたいな、って思っててね。その日はコルカタからバラナシに行く夜行列車に乗ったんだ。

 

バラナシに行くっていうのは、当時の私にとってはかなり意味のあることだったんだよね。

最近のバックパッカーは、ウユニ塩湖に行きたい!っていう人が多いけど、あの頃のバックパッカーは、バラナシあるいはガンジス川って絶対行きたい場所のひとつだったんじゃないかな。

今でこそ私も若い頃よりもリアリストなんだけど、20代前半、ご多分にもれず、いわゆる自分探しのような気持ちもあったしね。インドのガンジス川に行けば「何か」がある、みたいなことを思ってたよね。

 

 

写真 (5).JPG          ガンジス川 ほら、何かありそうでしょ!

 

 

いよいよインドの旅のクライマックスだぜ!

興奮して乗り込んだ列車の4人用のコンパートメントには、インド人の既婚の男性と、イスラエル人の兄妹が一緒だった。


たまたま偶然に居合わせた私たちだったけど、お互い年齢も近くて、なんだか気が合って、夜遅くまでコンパートメントの中で話し込んだ。
インドのカースト制度のこと、イスラエル人としてこの時代に生きるっていうこと、なんていうちょっと難しい話から、おいしい食べ物のことや恋バナまで。

 

この連載のはじめに出てくるバックパッカーなのかなんなのか分からずに旅をしはじめたころ、宗教や世界の情勢のことを外国の人と英語で話すのが難しくってね。

ああ、私、ホント英語だめだわ、なんてシリアスに思ったり。でも、それは英語力の問題じゃなくて、結局自分がそのことについて考えたこともなかったんだな、っていうことにぶち当たった。

日本語だって、そんな話できないじゃんって。

 

だから帰国後は、そういうことを勉強しなくちゃっていうんで、本を読んだり人の話を聞いたりして、自分なりにいろいろ考えてみたんだけど、ようやくこのインドの旅の頃になって、なんとか話に参加できるようになったんだな。

旅のいいところは、いかに世間知らずのノーテンキな私でも、そういうことを考えなくちゃいけなくなっちゃうってことかもね。

 

さて、ちょっと脱線したけど、そんなこんなで、日をまたいで、翌日、列車はバラナシに到着。

バラナシだ!

 

私はこの時、自分のこれまでの思いとか、ここに来たぜという感動を、一人でシミジミと味わっていたんだけど、その頃世界は、そんなちっぽけな私の感動なんてなんなのさ、っていう事件が起こっていたんだな、これが。

駅を出てタクシーに乗り込むと、運転手が変なことを言い始める。

 

      「第3次世界大戦が始まったぜ!!!

へぇ。
この人は多分、昨日の夜にでも観た映画のことでも話してるんだろうと思って、失礼ながらも適当あしらっていたんだけど、宿に到着してみても、なんだか人々の様子がおかしい。特に旅人の様子が奇妙だ。

2001年9月11日。アメリカ同時多発テロ事件。

 

私は実はあの日からの数日間、バラナシで、ただただガンジス川を眺めたり、片足を無くした目の綺麗な物売りのおじさんと仲良くなって一緒にジュースを飲んだり、旅人としての静かな時間を過ごしていた。


何にも知らなかったとか、無視してたとかじゃなかったんだよね。
まわりから受け取る情報に漠然とした不安も底知れず感じてて、一体どういうことになっちゃってるのか?と、通信速度が遅くて、メールひとつ書くのがやっとだった宿のパソコンから、友人たちにメールを送ったりしてた。


でも私の怠け根性からか、バラナシの空気がそうだったからか、その間、タブラを習ってみたりして、世界の大騒ぎとは全く正反対の時間を過ごしていたんだな。

 

 

写真 (3).JPG             ありがちでしょ、やっちゃうんだよね、タブラを練習中〜

 


それにしても、人間の頭の中のアレコレの力から起こった社会的な大きな事故を、そんなこととは全く正反対に思えるエネルギーが、人、植物、動物、その土地にあふれている場所で考えるというのは、今思えば不思議な体験だったような気がしてね。

私はそんなにスピリチャルなタイプではないけど、あの時は生々しく人間やら動物やらが生きているっていう空気にすっかり取り憑かれて、どうにもこうにも生きるエネルギーに満ち満ちていたんだよね。

 

写真 (7).JPG

           バラナシの街角でひと休み。のんびりだよね

 


         インドでは、動物も人間も同じように生きてるんだよね。

 

 

写真 (6).JPG

 

飛行機がワールドトレードセンターに突っ込んでいく映像を見たのは、その後、デリーに戻って友人の会社に行ったとき。これもいろいろ思うことがあったんだけど、ここであんまり書く話じゃないかな。

すごーい、話が飛ぶんだけど、去年の3月11日、私は東京の中野にいて、グワングワン揺れる地震を体験。

あの時、私の周りには、もうすぐ桜が咲き始める春の東京に遊びに来ている外国人の若い子たちが何人かいてね、揺れ始めたときにはみんなびっくりしてた。地震がおさまって、初地震で良い経験だ!なんて笑ってた子たちもいたんだけど、その後、原発の事故の情報でどこもかしこもいっぱいになって、大混乱。

今、思い返しても、あまりにも普段の現実とはかけ離れた体験で、その間の時間は、すっぽりと別物みたいになっちゃてる。

 

あれから1年が過ぎてみて、また自然に思いかえして、あのインドのガンジス川のことを思ったんだよね。

バックパッカーとか旅人って、移動をして、どこか自分の国や故郷じゃないところを点々として、その間に、世界のあちこちではいろんなことが起こってる。

 

東日本大震災の前、ニュージーランドで地震が合ったときには、現地に行ってる知り合いが気がかりだったな。それから、気にかけていたその知り合いは、3月11日のあと気にかけて連絡をくれた。

 

2012年3月11日、私は東京にいたけれど、あるバックパッカーは地球の裏側にいたかもしれない。そんなみんなはどんな気持ちだったんだろう?ってちょっと思ったりしたんだ。


次回は、ちゃんと前回の続き、シンガポールに向かいますよ〜、多分。

 

 第一回分からはコチラで読めます
 
http://backpackers-link.com/girls/

 


Japan Backpackers Link 2012年4月25日 04:46 PM
| Home |

infotitle

バックパッカー新聞
books
app
app

mailtitle

mail